私の考えること。 |
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お子様に。 |
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上へ 1.お子様に早期教育をとお考えの方に、、。 大人の方へ
そもそも早期教育とは何でしょう? 音楽に限って話をするならば。毎日毎日CDを聞かせたり、とにかく毎日ピアノや ヴァイオリンを練習させて、楽譜に書いてある通りに間違いなく弾けるようにすることでしょうか? 3歳になるかならないかの子供たちに果たしてそんな事が出来るのでしょうか? 子供たちは可能性のかたまりです。確かに弾くという行為だけに集中させればマシーンの様に 演奏させることは可能でしょう。しかしそれは本当に音楽を奏でていると言えるのでしょうか? 子供たちに必要なのは、ヴァイオリンを弾く前に、音を音楽を感じるという事がとても 大切になってきます。それは歌を歌ったり、音楽を聴いて体を動かしたり、絵を書いたり、 そしてCDの音ではなく生の楽器の音を聴くという事をしながら育っていく感覚なのです。 そうする事によって、より音楽的な演奏へとつながっていくと考えています。 早期教育とは、そのような環境を作ってあげると言うことではないでしょうか。 お父様 お母様がそのことをよりよくご理解して頂けているのであれば、 少々ヴァイオリンを弾くことの進度がゆっくりであっても、なんら焦ることもなく、 その子その子のペース(理解度)で本当にヴァイオリンが音楽が好きな子へ育っていって くれるのではないでしょうか。 |
2.親子でアンサンブル
もしご家族の方が何か楽器を演奏されるのであれば(もちろん歌でも!!)、 ぜひホームコンサートをどんどんやってください。 アンサンブルは相手あってのものです。相手の音にも耳を澄ます。これは会話と同じです。 音で会話をしているのです。それは、とても楽しいことで新しい発見にも繋がります。 例えば、自分の思っていることを相手に伝えようと思ったら、まず自分がどう思って いるのかが分かっていないと話すことが出来ませんよね。 話を聞いている人も、もし相手がうまい言葉を見つけられなくてモゴモゴしていたら、 何がいいたいのかな?と、その人の話を一生懸命に理解してあげようとしますよね。 ときには「うん、そうだね」と同調したり、またあるときは「いや、そうじゃない!」と反発したり、 「そう!そう!」と一緒に盛り上がったり、それがアンサンブルなのです。 そして、ヴァイオリンは(他の楽器もそうですが)ピアノやギターと違い、多くの曲が 一人では成り立ちません。例えばピアノ伴奏がついている曲であれば、ヴァイオリンとピアノが 二人で心を一つにして初めて一つの作品(曲)になるわけです。 ですから小さいうちから自然とアンサンブルを身につけるためにも、積極的にホームコンサートを 行ってください。 |
3.お歌大好き!!
小さい子供はレッスンのときによく歌をうたってくれます。幼稚園で習った歌だったり TVアニメの歌だったり、、、。そういうときの子供たちの顔はとても生き生きと楽しそうで輝いています。 そして何よりも音楽が満ち溢れています。自分の体(声)を使って表現できるのは、 とても素晴らしいことです。 ヴァイオリンを弾くにあたって、それはとても重要なのです。歌ごころがなければ、 どんな楽器を使っても同じだからです。 例えば「かえるのうた」を歌ったり、弾いたりするのでも、「どんなカエルさんかな?うーんと 小さいのかな。それともまるまる太った大きなのかな。ジャンプはどれくらい出来るかな?」という 問いかけをするだけでも、「今はこんな感じのカエルさん」と自分でイメージして見違える(聴き違える?) ほど素晴らしい演奏をしてくれます。 ある生徒さんは、「今、弾いてたらね、ここにカエルがみえたよ。」と言って、自分のおでこを 指差しました。子供のインスピレーション、表現力って凄いんだなぁと改めて思いました。 だから子供が気持ちよく歌っているとき、少々音程が外れていたり、音の並びが違っていたりしても、 「そこちょっと違うわよ。」とかいわずに、一緒に楽しんで歌ってあげてください。なぜって、 あの小さい体と心いっぱいに音楽が溢れているのですから。 それが音楽への第一歩です。 |
大人の方へ |
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現在ヴァイオリンを習っている方の中には、大人になってからはじめた方も多いと思います。 私の生徒さんたちもほとんどの方がそうです。 そんな皆さんにここで一つお聞きしたいのですが、音程が取れていなくても、 指がもつれていても、ボーイングがまずくて音が不揃いだったとしても、 そんなことより何となくそれらしく弾けていれば、次々に新しい曲をやっていく方が楽しい とお思いでしょうか? 本当にそれでいいのでしょうか? せっかく純粋に音楽が好きでやっているのに、、、 やればやるほど、求めれば求めるほど 深くて、おもしろいのに、、、。 |
・大人だから、、、って!
ナゼこんなことを書いたかと言うと、趣味でやっている大人の方たちを教える先生の中には、 生徒に対して、先ほど書いたように思っている人が多いようなのです。 その考え方が悪いと言うのではありません。ただ、大人だからと言って果たして本当に皆が皆 そうだと思ってよいのでしょうか? ある30代の女性の生徒さんは、彼女の前の先生から私が引き継ぐと言う形でレッスンが 始まりました。 彼女はとても練習熱心で、「大人の人が趣味でやっているわりには」よく弾けていました。 でも、まだまだ私なりにアドバイスしてあげられることがたくさんありました。 もし、あの時点で私自身が「趣味だから」と割り切って通過してしまっていたら、 今の彼女には”ヴァイオリンって楽しい”と感じる瞬間が少なかったでしょう。 しかし、幸か不幸か(!?)ヴァイオリンの事になると、見過ごせない性格が出てしまい、 かなり細かく「ちょっと私しつこい?」と思いながらも、アレヤコレヤとレッスンを 進めていきました。そんな彼女が言ったこと、、、。 「今まではサラッと流してきて、こんなものかな、、、と思ってきたけれど、先生とレッスン するようになって、ヴァイオリンってすごく奥が深くてやればやる程色々出てくるけど、 教えてもらった方法で一つ一つ根気良く練習していくと、出来るようになっていくのが 実感できてすごく楽しい。」 実際彼女は2年前よりも、1年前よりも確実に音楽を自分のものにしていっているのが感じられます。 |
・テクニックについて
何かを表現するものにとってテクニックは必要です。しかしそれは、自分の内なるものを 他者に(時には自分に)より分かりやすく伝える為の術であって、 それ自体を見せびらかす為のものではありません。 私がレッスンを受けたドイツのある先生は、テクニックについてこんな話をしました。 「ある人が演奏したときに聴衆が『あの人(演奏者)はあそこでこんなテクニックを使っている。』と 言ったのなら、それは音楽を聴かせているのではなくテクニックを見せているのにすぎない。」 皆さんはどう思われますか? 私はとても共感を覚えました。確かにテクニックは必要だけど(そのための練習もたくさんするけど)、 テクニックがあるから音楽があるのではなく、音楽があるからテクニックがあると考えれば、 テクニックに対する考え方がより明瞭になってくるのではないだろうか、、、と。 ”テクニック”と言うと高度な話をしているように感じ、「まだ私はそこまで行っていないから」 と考える方もいらっしゃると思いますが、それぞれの段階で必要になってくるものなので、 習い始めの方から長年やっている方まで共通して話せることではないかと思います。 |
・一緒に育てていく力
音感・音楽感・テクニック・読譜力 これらはどれも、ないがしろにする事なく、 一緒に育てていってほしいと思います。 音感は正しい音程が分かる様にするだけではなく、音の伸びやかさや方向性を聞き分 けられるように、、。 音楽感は音や曲に対して世界をもつことが出来るように、、、。 読譜力は自分がやっている曲、もしくはそれと同じくらいのものであればきちんと読めるように、、、。 テクニックについては先ほど書きましたので、ここでは少し読譜力についてお話します。 「音符があまり読めなくても、大体の音やリズムはCDを何度も聞けば分かるし、あとは 指の順番と弓の順番を譜面で見ればいいのだから、あまり不自由を感じないから良いではないか」 と思っている人はいませんか?「そんな事思うわけないよ」と皆さんが言ってくだされば良いのですが、 もし万が一思っている人がいたとしたら想像してみてください。 あなたの大好きな人が、あなたをすごくすごく大切に想う気持ちを曲(楽譜)に託して、 たった今出来上がったばかりのその楽譜をプレゼントしてくれました。あなたはとっても嬉しくて、 どんな曲かとワクワクしながら楽譜を開いてみました。そしてあなたはその楽譜を見て愕然としました。 有ろう事か、そこには指順を示す数字もなければ弓順を示す記号さえないのです。 でもあなたはいつものように「そうだ!CDで聞いてみよう!!、、、ガーン!!!」 そうなんです。ついさっき出来上がったばかりのその曲はCDなんて出ていません。 楽譜を読めないばっかりに、どんな曲なのかも分からないのです。 あなたの為に書かれた曲なのに、、、あなたに命を吹き込んでほしくて待っているのに、、、。 なんだか悲しくなってきちゃう。 楽譜には作曲家からのメッセージがたくさん詰まっています。その作曲家がどんな時代に生き、 何を考え、何をしてきたか、そして音楽を通して聴く人達に何を伝えたいのか、 と言った色々な事が凝縮されたものが、楽譜という形で表現されているのです。 そして、楽譜を読む為には音楽の約束事があります。それが楽典です。 楽譜をより良く理解することが出来れば、あなたの演奏に必ず反映され、真の音楽、演奏を 目指すことが出来るでしょう。 |
・ヴァイオリンを習う人へ、、、
教える立場の者が何かを決めてかかるのは、とてもキケンであると言うこと。 一人一人何を求めているのか、何が必要なのかは違うのだから、生徒一人一人をよく観察し、 大人だろうと子供だろうと生徒の話に耳を傾ける。それが大切だと思います。 ちょっとした雑談の中にも、次のステップへのヒントが隠れているかもしれないから、、、 そして、、、年齢に関係なく自分自身が求めることをやめなければ、それは訪れる。 (たとえ少しずつだとしても)いつまでも、いつまでも成長することが出来る。 私自身もまだまだ成長過程である。ヴァイオリン好きの生徒さんのお手伝いをしながら、 有り難い事に皆から色々な課題をもらってますます頑張って、でも肩に力は入れないで 成長し続けます。 |